お客様へのご提案
課題
- 現在の組立工場のために、保守性、パフォーマンス、将来の要件に対する適応性を改善するスマートなオーバーヘッド・バッファリング・リニア搬送システムを設計する。
ソリューション
結果
- マルチモデル組立てへのアプローチを合理化
- 事前にエンジニアリングされたソリューションによる構成の容易化
- コンポーネントの数を最小限に抑え、保守を簡素化
- モジュール式設計による柔軟性の向上
どの自動車工場においても、サブアセンブリをA地点からB地点まで正確かつ効率的に運搬することが重要な問題です。しかしながら、最適なスループットの実現は速度の問題だけではありません。システムのダウンタイム時に、他のシステムでの生産を遅らせずに対応できる搬送戦略が必要です。
クーカ・システムズ社の高度テクノロジグループの責任者であるケビン・ローレンス氏は次のように述べています。「製造は完璧ではありません。部品がドックに入るのと別のドックから出てくる速度が同じということは、ありえません。間違いが起こる可能性が多すぎます。」
バッファリングゾーンがこの課題を解決し、潜在的な障害があるにも関わらず工場がアウトプットの目標を達成するのを可能にします。集積コンベアをベースにしたバッファリングゾーンにより、1つのシステムが別のシステムへ一定の速度で搬送を行ない、消費システムの速度が低下したり、ラインを停止させた場合に、生産システムからのアウトプットを保管しておくことが可能になります。
しかしながら、近年、自動車工場は混合モデルの組立ての方向に進んでおり、サブシステムの増産が前提になり始めたため、従来のバッファリングでは要求に答えられないことが多くなりました。
ローレンス氏は次のように述べています。「従来のバッファリングシステムは、本来の目的を越えてしまったのです。工場の連続運転の維持を想定したシステムには、必要とされる問題解決の素早さが備わっておらず、それ自体がダウンタイムになりがちでした。」
現在の工場のためのよりよいアプローチ
現在の組立工場の現実に対応するため、クーカ・システムズ・ノース・アメリカ社は最近、KS BOLTバッファリング・オーバーヘッド・リニア搬送システムを開発しました。クーカ・システムズ・ノース・アメリカ社はドイツに本部を置く、自動車業界の生産システムの世界で大手のプロバイダであるKUKA AGの一員です。
KS BOLTシステムは、従来の「オーバーアンダー」運搬構成とは際立って対照的です。
摩擦ベースの運搬を採用した従来のバッファリングとは異なり、KS BOLTはロックウェル・オートメーションのMagneMotion®の独立型カートテクノロジを基盤にしています。このシステムの特長は、QuickStick®インテリジェントコンベアです。
リニアモータと内蔵モータコントローラで構成されたQuickStickシステムは、組み込まれた位置検知機能を使用して、ループ形式のトラック上の個別のキャリアを個別に制御することができます。加速、減速、速度、および位置をプログラムできます。
埋め込まれたインテリジェンスのパワー
ローレンス氏は次のように述べています。「リニアモータ技術の採用で、KS BOLTは非常にスマートなシステムになっています。位置センサがモータに内蔵されているため、それぞれのキャリアと部品の正確な位置をいつでも知ることができます。」
反対に、従来のコンベアは外部近接センサに基づいてベルト上のパレットの動きをモニタしますが、個々のペイロードを制御したり、追跡することはできません。また、従来のコンベアは一方向にしか動きませんが、KS BOLTは双方向です。
ローレンス氏は次のように述べています。「双方向に動けることは、生産システムと消費システムの同期が外れたときに役に立ちます。インテリジェントシステムは常にすべての部品がどこにあるかを把握しているため、必要に応じて、適切なモデルを自動的に独立して運搬することができます。」
KS BOLTは、マルチモデルプラントでの適切なシーケンスを容易に行なうための効率的なソリューションにもなります。各車両の正しい部品シーケンスを簡単に実現するために、多くの工場で選択バンクが確立され、個別の搬送システムがモデルごとの部品を搬送しています。
「KS BOLTシステムの比類のない追跡機能のおかげで、組立工場の選択バンクと個別のコンベアを1つのKS BOLTシステムと置き換えることができます」と、ローレンス氏は語っています。
コンポーネント数が少なく、保守が簡単
KS BOLTシステムはモジュール式の設計を特長としているため、保守も簡単になります。
「基本的に、KS BOLTシステムにはコンポーネントが極めて少ないので、間違いが起こることはめったにありません」とは、ローレンス氏の言葉です。
KS BOLTには、押出アルミニウムのトラック、ソリッドステート式QuickStickリニアモータ技術、保守不要のキャリアに加えてローラー・クラスタ・ホイール・アセンブリが組み込まれています。
ローレンス氏は次のように述べています。「予知保全を可能にするために、リニアモータのヘルスステータスを個別にモニタして消費電力の変化がないかを調べます。滅多にないことですがモータの交換が必要な場合は、KS BOLTは制御システムを介してアラートを出します。」
また、ローラークラスタやホイールの修理が必要な場合は、システムは問題のあるキャリアを正確にピンポイントで見つけます。摩擦ベースのシステムとは対照的に、修理可能なコンポーネントにトラックの外部から簡単にアクセスできます。
未来に向けて
KS BOLTの真の美点は、幅広い産業アプリケーションと将来の製造要件に対する適応能力でしょう。
ローレンス氏は次のように述べています。「このシステムは自動車組立工場だけにとどまらないことを、頭に入れておいてください。幅広いシナリオに最適な選択です。」
業界を問わず、モジュール式の事前にエンジニアリングされた設計により、お客様は簡単にトラックセクションを追加したり、別のアプリケーションに合わせてトラック構成を変更できます。
ローレンス氏の言葉です。「今までは、バッファリングコンベアは消耗品で、新しい工場やアプリケーションごとに新しいシステムが必要でした。当社はそのメンタリティを変えました。KS BOLTはお客様が必要とする最後のコンベアになると考えています。」
ロックウェル・オートメーションが機械装置メーカのパフォーマンスの向上をどのようにお手伝いできるかについては、こちらをご覧ください。
公開 2019年2月11日