ソリューション
アップグレード作戦では何名もの人材を起用することに決定、ただしステップは互いに関わり合っていました。PCSシステムのアップグレードはシャットダウン前に、既存のシステムで生産能力を維持した状態で行なわれました。
F&Gシステムのアップグレードもシャットダウン前に行なわれました。ESDソリューションのアップグレードはシャットダウン中に新システムの追加と並行して行なわれました。
ロックウェル・オートメーションはEPC (設計・調達・建設)業務を請け負うことになり、機器ベンダーへの発注業務、細かなエンジニアリング業務、資材の管理および施設への発送業務、ベンダーによる施設での取付けおよび作業の監督業務、請負業者の管理業務を担当しました。
ロックウェル・オートメーションでは、ESDシステムとF&Gシステムのアップグレードに、Trusted三重モジュール式冗長(TMR) ESDコントローラとTrusted TMR F&Gコントローラを採用しました。
Trustedはフォルトトレランスの制御および安全システムで、非常に厳格な国際安全規格に準拠した設計となっています(制御システムに問題があると処理面の収益性が損なわれるため、その完全性は非常に重要)。
三重の処理パス(スライス)が各モジュール内にあり、高度な診断機能と多数決機能もあるため、信頼性に優れたフォルト・トレランス・アーキテクチャとなっています。
TMR以外の制御システムとは異なり、Trustedはシステムの安全面の完全性を損なうことなく事実上稼働時間100%を実現します。
TUV AK6 (プログラム可能な安全システムでは最高等級)をはじめ、NFPA72規格とロシアのGOST規格の認定を受けています。
既存のシステムは、ロックウェル・オートメーションの旧式の安全システムであるICS 2000でできています。
ダンバーのシステムアップグレード(DSU)では、プロセッサと出力サブシステムをTrustedプロセッサに取り替えました。十分に計画を練り事前にリスクアセスメントを行なったうえで、しっかり管理しながら稼動中(生産を維持)に移行を行なうことができました。
ロックウェル・オートメーションのEDSエンジニア長であるヴィリー・ニコルソンは次のように述べています。「古いデュアルICS2000の半分を潰し、その部分に新しくTrustedを組み込むという作業を行ないました。続いて入力データが旧システムと新システムで同時に使えるように入力サブシステムの設定を行ないました。これは、新システムに出力情報を転送する前にプロセシング論理と出力状態を確認できるようにするためです。」
旧システムから新システムへの出力情報の移行はしっかり管理しながら行なわれました。
「成功の鍵は、トタル社の作業員と当社作業員の間の連絡を途絶えさせなかったことでした。そのため、オペレータは何が移行済みで、どのシステムでどの機器を制御しているのかを常に把握していました。トタル社とは非常によい関係が築かれており、それが功を奏し作業がはかどりました」と、ニコルソンは語っています。