お客様へのご提案
課題: 製造ライフサイクル全体での生産と利益の最大化
世界各国で事業を展開するこの化学メーカは、世界最大の総合エネルギー企業のひとつです。ポリエチレンビジネスユニットは、包装材、農業、消費財、建設分野向けの低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)製品をフルラインで提供するポリエチレンの主要メーカです。
単一の製品に特化した従来の大規模な石油化学メーカとは異なり、ポリマーメーカは幅広い条件で多くの製品を生産しています。このようなさまざまな仕様を満たすためにポリマーリアクタを稼働することは、複雑で非線形な制御問題です。その結果、オペレーションでは、各製品の「at-grade」状態での品質維持だけでなく、あるグレードから次のグレードへの移行を最も時間とコストのかからない方法で行なうことにも重点を置かなければなりません。生産ライフサイクル全体で生産量と利益を最大化するために、製造メーカは製品の品質と生産量に影響を与える多くの変数を継続的に制御する必要があります。
欧州のお客様は、幅広いグレードの製品を製造しており、年間数十万キロトンの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を独自のプロセスで製造しています。お客様は、LLDPEの生産量の増加、規格外品の削減、グレード間の移行時間の短縮など、特定の生産目標を達成する方法を必要としていました。
ソリューション: ロックウェル･オートメーションのクローズドループ制御ソリューションでグレードアップ
同社は、技術交流会でロックウェル･オートメーションのアドバンスト･プロセス･コントロール(APC)ソリューションを知り、ポリマー業界における同社の確かな専門知識に感銘を受けました。ロックウェル･オートメーションのソリューションは、同社の品質と生産の目標達成に役立つと判断し、同社はロックウェル･オートメーションのFactoryTalk Analytics MPCソリューションを導入しました。
FactoryTalk Analyticsは、定常状態の最適化とモデル予測によるクローズドループ制御を組み合わせ、製品のばらつきや移行時間の短縮、リアクタの安定性の向上、原材料の効率化を実現します。
このソフトウェアに対するお客様の具体的なニーズには、リアクタ内の気相組成の制御、リアクタ製品の瞬間的な品質とグレード間の移行の管理と制御が含まれていました。FactoryTalk Analyticsは、ハードウェア機器やラボでの分析結果を補強するオンライン予測モデルを作成し、プロセスや製品の状態をリアルタイムで推定します。これらの仮想機器は、生産を軌道に乗せ、プロセスの混乱を防ぐために必要なフィードバックと予測プロセス情報を提供し、追加のラボ分析の時間と費用をかけずに、問題を特定して迅速に回答を提供します。このお客様の具体的な要件は、実際のリアクタのデータから、MFI (メルト･フロー･インデックス: 熱可塑性樹脂の溶融時の流動性を表す指標)や密度などの主要な品質変数をモニタすることでした。
結果: 数ヶ月で実際の利益、実際の節約を実現
ロックウェル･オートメーションの最初のソリューションは、8ヶ月以内にお客様の施設に設置、実装、テスト、および立上げが行なわれました。ロックウェル･オートメーションは、エンジニアリングの専門知識のほとんどを提供し、プロジェクト実行中にトレーニングを受けたお客様の担当者のサポートを受けました。
ロックウェル･オートメーションのソリューションの利点は、生産レベルの大幅な向上、外乱の減少、リアクタのばらつきの減少、移行時間の短縮などであり、お客様にはすぐに理解していただけました。また、ロックウェル･オートメーションのソフトウェアを導入したことで、製品の特性のばらつきを50%低減することができました。「また、ロックウェル･オートメーションのソフトウェアを導入したことで、製品の特性のばらつきが50%減少しました」と、お客様担当者は語っています。これにより、ハードウェアの制約に近い状態で運用できるようになり、結果的にスループットが向上しました。また、ソフトウェアの導入により、移行時間が最大50%短縮され(製造するLLDPEグレードによって異なる)、生産量が7%増加し、モノマーや触媒の使用効率も向上しました。
主なメリット:
- ポリマー特性のばらつきを50%低減
- 移行時間を25～50%短縮
- 生産量が7%増加
- モノマーおよび触媒の使用効率の向上
- 移行時間を25～50%短縮
- 生産量が7%増加
- モノマーおよび触媒の使用効率の向上
お客様担当者によると、このプロジェクトは成功し、追加の利益をもたらし、選択肢の幅を広げることで工場の収益性を高めたとのことです。
「システムの制約を新たに理解したことで、
APCに関連しない改善も得られました。私にとって
最も顕著な改善点は、従来の制御方式では不可能だった
新しいグレードの切換えができるようになったことです。これにより、お客様のニーズに柔軟に対応できるようになりました。」
- お客様担当者
このプロジェクトの成功を受けて、ロックウェル･オートメーションとお客様は戦略的な提携を結び、ロックウェル･オートメーションの高度なプロセス制御ソリューションを、お客様のポリエチレン工場、その合弁会社、および世界中のライセンシーに展開することになりました。アライアンス開始から2年間で、お客様とその関連組織はロックウェル･オートメーションとの14のプロジェクトを成功させました。
公開 2021年7月21日