フォンテラグループはニュージーランドに拠点を置く多国籍酪農協同組合で、母親と乳児のための粉ミルク「Anmum」から、個包装のプロテインシェイクとコーヒーのラインアップである「Mammoth Supply Co.」まで、有名なブランドポートフォリオを擁しています。
ニュージーランド農家の共同組合であるフォンテラは、世界中で何千人もの従業員を雇用しています。毎シーズン約220億リットルの牛乳を集め、さまざまな製品に使用しています。
最終製品がどのようなものであっても、フォンテラはすべてのブランドで信頼を第一に考えています。タンカーは、農場からニュージーランド国内の26の製造拠点にある100の工場に生乳を運び、そこで生乳はバルク液に加工されます。
ユニークな製品の原料や包装材は、さまざまな加工段階を経て流れます。完成した製品は、物流センターからお客様へ、または二次生産拠点へ出荷され、最終的に世界140カ国の消費者の手に届けられます。
フォンテラの戦略のリードチームとして、自動化･運用技術(AOT)グループは、製造施設全体のプロセスを改善し、工場現場から企業まで信頼できるデータを安全に配信する効率的な方法を見つけ、データ収集と分析機能に革命を起こす革新的でサステナブル(持続可能)なソリューションを実装し、製造と企業の機能全体に信頼を与える方法を必要としていました。
フォンテラは、製造施設全体のプロセスを改善し、重要な業務やビジネス上の意思決定を迅速に行なえるようにしたいと考えていました。
フォンテラは、世界中の顧客の高まる要求に応えつつ、各施設で同じ高品質の製品を作る必要がありました。AOTグループは、画期的なソリューションがデジタルトランスフォーメーションにあることを知り、工場現場から企業へ信頼できるデータを安全に提供する効率的な方法を見つける計画を開始したのです。
数年にわたるデジタルトランスフォーメーションの実現に向かう前、フォンテラの製造データは、紙ベースと電子システムが混在した状態でした。時には、データが不完全であったり、特定のオペレータしか理解できないこともありました。データは、他の施設や企業との間で簡単に文脈を変えたり共有したりすることができず、集中管理プロセスもないため、バージョン管理の問題も生じていました。
チームは、データ収集と分析能力に革命をもたらし、製造と企業機能全体に信頼を与えることができる、革新的でサステナブルなソリューションを導入するための旅を開始しました。
フォンテラは、すでにロックウェル･オートメーションのソリューションを使用して、クローズドループ分析、製造オペレーション管理(MOM)、トラック&トレースソリューションをビジネスに統合していました。AOTチームは、MicrosoftおよびPTCとのロックウェル･オートメーションの戦略的提携も活用する予定です。
フォンテラは、変革の前に、以下のような多くの課題に直面しました。
フォンテラのデジタルトランスフォーメーションの主な目標は、施設全体の継続的改善の一環としてOEEを向上させることと、工場増設のための資本支出をせずに生産能力を向上させることでした。また、潜在的な品質問題の軽減、計画外のダウンタイムの削減、日常業務、予測、戦略的なビジネス上の意思決定に役立つデータの民主化も目指していました。
最初のフェーズは3年かけて完了し、現在では10以上のフォンテラの拠点でデータ主導の洞察が実現されています。チームは、データの収集と分析という新しい方法に対して、いくつかの抵抗を感じました。日々の業務や生産高をスプレッドシートで把握することに慣れているため、自動化されたデジタルシステムが、人間の経験を必要とする要素を誤って伝えてしまうのではないかと心配する人もいました。
このシステムは、情報の正確さと、情報へのアクセス、分析、共有のしやすさで関係者を感心させ、その実力を証明しました。実際、関係者は数字の計算に費やす時間を大幅に減らし、分析を使って機会を特定し、ひらめきを与えることに費やす時間を大幅に増やしたのです。その結果、工場長は改善点を絞り込んでエラーに迅速に対応し、経営陣はより機敏な意思決定を行なうようになり、この取り組みは文化的な転換点を迎えました。
ロックウェル･オートメーション、マイクロソフト、PTCの3社は、それぞれ最高水準の技術と専門知識を持ち寄り、再現性、拡張性、サステナブル(持続可能性)を備えたソリューションの構築に協力したのです。
デジタル･トランスフォーメーション･ソリューションには、ロックウェル･オートメーションの制御用ハードウェアとソフトウェア、マイクロソフトのクラウドデータ共有･ストレージ製品、産業用モノのインターネット(IIoT)向けに設計されたPTCのアプリケーション開発プラットフォームが含まれています。この革新的なエッジ･ツー･クラウドベースのソリューションは、信頼できる単一のデータ環境を通じて、フォンテラのプラントオペレーションとエンタープライズ･ビジネス･チーム間の情報を接続します。
このソリューションは、FactoryTalk® Metricsソフトウェアを使用してロックウェル･オートメーションの制御プラットフォーム上に構築されており、OEEデータを提供して、生産量の増加、コスト削減、品質向上を実現する方法を明らかにしています。OEEデータは、FactoryTalk® InnovationSuiteの一部であるPTCのThingWorxアプリケーションに供給され、その後Microsoft Power BIに計算結果が配信されます。これにより、フォンテラの多くのレベルの従業員が、組織全体でデータを可視化･共有し、離れた場所からもアクセスできるようになりました。
DXソリューションは、市場の需要に対応するため、フォンテラの主要な目標のすべてを満たし、実現しました。
フォンテラは現在、Microsoft Power BIを日々の生産レポートやシステムレビューに活用し、最適化の機会を特定し、運用上の有害事象を軽減しています。さらに、データの保存にMicrosoft Azureを使用する計画も進行中です。
デジタル･トランスフォーメーション･ソリューションは、フォンテラの主要な目標をすべて満たし、実現しました。フォンテラの工場の平均OEEスコアは20%改善され、新しい施設を建設するための投資はもはや必要ありません。工場のオペレータがデータの収集と分析に費やす時間が減った一方で、経営陣はより機敏になり、市場の需要に対応するために現状を保つか方向転換するか何が必要であるかなど、データに基づいた意思決定を行なうことができるようになりました。
このソリューションを完全に導入する前に、フォンテラのセキュリティチームは、厳格なセキュリティとネットワークプロトコルのレビューと承認プロセスを実施しました。社内関係者へのアクセスレベルの割付けと管理、サイバーセキュリティの潜在的脅威を阻止することなど、厳格なセキュリティ対策を満たす必要がありました。このソリューションは、オートメーションフロアと企業を安全に接続することに成功しました。
現在では、工場現場から企業まで、エンド･ツー･エンドで、意思決定者はリアルタイムのデータと分析にアクセスし、オペレーションの有効性とビジネスの成長機会をモニタ･評価することができます。また、機器の故障など予期せぬ事象をより迅速に診断･対処し、根本原因を特定することで、同様の事象を軽減することができるようになりました。
フォンテラのプロジェクトでは、食品･飲料業界や他の業界の他のユースケースにも適用できるデジタル･トランスフォーメーション･ソリューションを作成するために、ロックウェル･オートメーション、マイクロソフト、PTCのより大きなコ･イノベーションがテストされました。現在までに、両社は20以上のユースケースを共同開発しました。
公開 2022年2月17日
